リノベーションをすることで時間を有効に使える家にしたいと思っておられる方や、子ども達の成長や新生活にあわせて家事をラクにしたいと思っておられる方が、家事の中心でもあるキッチンをメインとしたリノベーションを考えるケースは少なくありません。その中でも、毎日の家事のひとつでもある食器洗いに関係して、キッチンにビルトイン食洗器や食器洗い機を付けるべきか悩む方は多くいらっしゃいます。
食器を乾かすカゴを断捨離したという方も増えている中で、ビルトイン食洗器は必要なのだろうか?と感じるかもしれません。ビルトイン食洗器のメリットとデメリットを参考にして検討してみましょう。
ビルトイン食洗器を付けるべきかを考えるうえで、食洗器を使うメリットとデメリットを確認しておきましょう。
洗った食器を置くカゴや、布巾の上に食器を置くなど、食器が乾くまでの間、キッチンに食器が見えている状態になってしまいます。しかしビルトイン食洗器であれば、片付けるまでの間、キッチンの中にあるので調理スペースを広く使えますし、置き型のように表にも出ていないので、見た目もスッキリ片付いた状態を保てます。
ビルトイン食洗器を付けることは、特に隠す収納をしている方、常に片付いたスッキリとした状態を保ちたい方や、キッチンが小さめで調理スペースを広く使いたい方におすすめです。生活感を隠すモダンテイストの家や、洗浄と乾燥の機能やスペースだけでなく収納的な役割も果たすという点で、食器棚を持たず選りすぐりの物だけを持つミニマリストにも人気です。
食洗器の最大メリットでもあるのが、食器を手洗いする必要がないので家事がラクになり、時短になるという点です。食洗器内に食器を並べ、ボタンひとつで洗浄から乾燥まで行えるので、時間を有効活用することができます。手洗いであれば疲れていて、今日は洗うのが辛い、後回しにしようと思ってしまうような日でも、ボタンを押すだけであれば、それほど負担にならず、家事が溜まることも防げます。
手洗いの場合、スポンジを使って洗うのが一般的ですが、スポンジは基本的には使い捨てではないので、見えない雑菌が繁殖してしまう可能性もあります。また、シンク近くに置いていることから常に水気を帯びていたり、食品の水分が接触したりする可能性もあります。コロナなど見えない菌が心配される現代、衛生面や抗菌に注意深くなっているため、食洗器による高温水による洗浄・抗菌は衛生的という面からもメリットがあります。
また、コロナ禍で頻繁に手をアルコール消毒しているため手が荒れてきたという方や、お湯での手洗いによる手荒れで悩んでいる方にとっても、食洗器を使うことは手荒れを防げます。
手洗いと比べて食洗器の方が、光熱費が極端に安くなるということはありません。特に1・2人程だったり、食器の量が少なかったりする場合は、むしろ手洗いの方が節約できる可能性もあります。しかし、家族が多い家庭や、家族の食事の時間がバラバラで各自何度も食器を洗っている場合などは、確実に食洗器でまとめて使用する方が水の量は少なくてすみます。そのため、家族構成や生活のスタイルによって水道代が安くなるというメリットも期待できます。
ビルトインの場合は、本来キッチンの収納スペースである部分を食洗器スペースとして使うことになるので、その分収納量が減ってしまします。大きめのキッチンであれば問題ないかもしれませんが、コンパクトなサイズや収納力を優先したい方にとっては、ビルトイン食洗器を付けることはデメリットになってしまいます。
ビルトイン食洗器にするにはシステムキッチンを選ぶことやサイズなど、設置できるキッチンに条件があります。人気のインダストリアルテイストに合う、扉がないオープンな業務用キッチンや、アイアンと木天板を組み合わせたオーダーメイドキッチンにしたいと思う場合などは、ビルトイン食洗器を取り付けることが出来ないかもしれません。好みのテイストを優先させるか、食洗器のメリットを優先させるか、どちらかを選ばなければいけなくなります。
置き型の食洗器であれば、使用する人数に合わせて大きくしたり小さくしたり買い替えが自由に出来ますが、ビルトインの場合はキッチンに埋め込まれているため、サイズを変えることが簡単には行えません。同じサイズに取り替えるか、仮にサイズ変更ができても価格は高くなってしまいます。
ビルトイン食洗器をリノベーション時に取り付けるか、どうしても決め切れないという場合には、後付けするという選択肢もあります。後付けの場合は、10~30万円が工事相場です。プラスで費用をかけても良いと思うのであれば、生活してから検討するのもアリかもしれません。しかし、後付けの場合にはキッチン選びの際に、後付けできるものを選んでおく必要があります。
まずは、天板が一体型のシステムキッチンを選ぶ必要があります。ビルトイン食洗器専門のメーカーもありますが、システムキッチンの中でも、食洗器を設置できるタイプのキッチンを選んでおけば安心です。さらに、取り付ける場合の、左右の位置など希望箇所の収納スペースが45~60㎝程度必要です。スペースが無ければ、希望の位置に後付けできませんし、反対にスペースが広ければ良いというわけでもなく、75~100㎝など広すぎても食洗器の幅以外に出来るデッドスペースに合わせた収納を作るなどの付属の工事が必要となってしまい、工事費用も高くなってしまうので注意が必要です。
家事をラクにし、食器洗いに使っていた時間を有効活用できるというメリットのある食洗器ですが、キッチンにビルトインすることで、収納スペースを減らしてしまうなどデメリットもあります。家族構成や好みのテイストによっても、食洗器がメリットになる場合もあれば、デメリットになる場合もあります。自分がキッチンや生活に求めるもの、最優先させたいものが何かを考えたうえでリノベーションすることで、ビルトイン食洗器のメリットを最大限活かすことも、食洗器を持たない生活を楽しむことも出来るはずです。