物件探しの際に、リノベーションに向いている物件、反対に向いていない物件があるという話を聞いたことがあるかもしれません。多くの場合、そのことには構造が影響しています。実際にリノベーションをするうえで、どんな違いが出るのでしょうか?
マンションや団地の構造に多い、ラーメン構造と壁式構造の2つを比較してみましょう。また、それぞれの構造がリノベーションで出来ることにも注目してみましょう。
ラーメン構造と壁式構造とはどのようなもので、リノベーションにどんな影響があるのかをご紹介したいと思います。
ドイツ語の『枠』を意味するラーメンから名づけられたラーメン構造は、柱と梁を使って建物を支える構造です。主に鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物に使われる構造で、高層マンションの多くはラーメン構造が用いられています。
構造体としては壁が必要ないため、ラーメン構造の家の壁は、部屋の間仕切りとしての役目だけです。そのため、リノベーションの際に壁を自由に取っ払うことが出来るのが特徴です。また、壁の厚さも自由に変えられるため、部屋を区切るだけのためであれば、薄めの壁にして空間を広くとることも出来ます。自由度が高いことから、リノベーションに向いていると言われる構造です。
壁式構造は、壁で建物を支える構造です。耐力壁と言われる鉄筋コンクリートの分厚い壁で建てられるため、耐震性に優れています。しかし、高層になると強度が保てないため、5階以下の中低層の建物に主に用いられている構造で、特に団地の多くにこの構造が用いられています。
ラーメン構造に比べ、柱や梁が無いため壁や天井に凹凸が無く、スッキリとしているのが特徴です。壁の厚みがあるため、防音性や断熱性に優れているというメリットもあります。
壁が構造体になるため、リノベーションで自由に壁を抜くことが出来ません。ドアのサイズを変えたり、出入り口の位置を変えたりすることも出来ない場合もあります。そのため、壁式構造の物件はリノベーションに向いていないと言われることがあります。
構造によって、リノベーション出来る範囲などに違いがあります。しかし、リノベーションに向いているかどうかは、理想の家次第でもあります。構造の特徴を知っているなら、理想の家に合わせた物件選びやリノベーションが出来るからです。それぞれの構造には、どんな家を求める人や、リノベーションスタイルが合うのでしょうか?
リノベーションによって、間取りや室内のデザインは自由にオーダーメイドで作ることが出来ると考えておられる方の中には、物件選びで、立地環境や窓から見える景色、部屋の広さを最重要視して選ぶ方は少なくありません。そのような方は、壁式構造の物件を選んでしまうと、思った通りにリノベーション出来ない可能性があります。
間取りを変えられる自由度の高いラーメン構造の物件に絞って物件を探し、理想の間取りやデザインにリノベーションしましょう。さらに、水回りの位置も変えたいという場合には、ラーメン構造の物件でも制限がある物件があるので、建物の規約や配管の位置を確認して、希望の位置に移動出来るかの確認も必要です。
壁式構造であっても、リノベーションが出来ないわけではありません。間取りを大きく変えられない壁式構造の物件ですが、1~2人暮らしの人にとっては、一般的な2~3DKの部屋の間取りはちょうど良い広さと感じる方は少なくありません。壁を抜いて、部屋を繋げることが出来ずとも、建具を無くすだけでオープンな空間にすることも出来たり、風通しや日当たりが良く、間取りを変える必要性を感じなかったりする場合には、ピッタリの物件と言えるかもしれません。
また、団地のレトロな洗面台や水回りのタイル、窓の雰囲気が好きな方にとっては、むしろそのままの雰囲気を崩さず好みのテイストに合わせられるので人気です。物件の雰囲気が気に入ったという方に関しては、出来るだけその良さを無くさないリノベーションをすることも重要なポイントです。
物件の良さを活かして間取りを変えずに、内装材や家具でインテリアテイストをコディネートしたり、造り付けの家具や建具を設けたり、設備機器を入れ替えたりするリノベーションを楽しむなら、壁式構造の物件でも、十分お気に入りの物件が見つかるかもしれません。
柱と梁で建物を支える構造のラーメン構造の物件は、壁を無くすことが出来てリノベーションの自由度が高いので、リノベーション向きの物件と言われます。それに対して、壁で建物を支える壁式構造は、壁を抜けないのでリノベーションに向いていないと言われることが多いかもしれません。しかし、壁式構造でも物件の雰囲気や広さ、間取りが気に入っているのであれば、内装材を変えたり、造作家具や設備を取り入れたりするリノベーションをすることで、理想の家にすることは出来ます。
リノベーションに向いているか否かは、構造だけでは判断できません。構造の特徴を知ったうえで、自分の求める理想の家や、リノベーションでの優先順位を明確にしたうえで物件探しをしましょう。