壁付けキッチンやアイランドキッチン、ペニンシュラ型キッチンなど、キッチンには様々種類があり、カタチやサイズによってレイアウトも変わります。そのため、キッチンの種類やデザインを知っておくことで、リノベーションやリフォーム時の間取りやレイアウトのプランの幅が広がります。
例えば、キッチンの種類の中には海外のキッチンでは多く採用されているものの、日本では主流とは言えないキッチンにⅡ型キッチンがあります。Ⅱ型キッチンを選択肢に入れることで、レイアウトの幅が広がります。では、Ⅱ型キッチンとはどのような種類で、どんな家やライフスタイルの方に合うのか、マンションでも取り入れることが出来るのかをご紹介したいと思います。
あまり耳にすることが無いⅡ型キッチンですが、実は、多くのキッチンメーカーが取り扱っている種類です。どんなデザインで、リノベーションの際には選択肢に加えることが出来るのか、確認してみましょう。
Ⅱ型キッチン(2列型キッチン)とは、シンク部分とコンロ部分が別々に2列に分かれているキッチンで、セパレート型キッチンとも呼ばれています。シンクとコンロのキャビネットが分かれているため、片方を壁付け、片方をアイランドにしたり、ペニンシュラにしたり、レイアウト方法がいくつも選べます。
サイズも様々で、キッチンの壁一面を、収納を兼ねたコンロ付きのキャビネットにして、シンク側は奥行きを90㎝以上、幅150㎝ほどのコンパクトなアイランドにするなど、それぞれキャビネット別にサイズを選ぶことが可能です。
給排水管や換気扇を動かすことが出来ないために、水回りを移動することが出来ないマンションは少なくありません。しかし、大きな移動でなければ、給排水管を通す距離が長くないために移動できるという場合もあります。その点で、Ⅱ型キッチンは、移動できないシンクだけを残して、もしくはコンロだけを残して、もう一方だけを移動させて対面式にしたり、調理スペースを広くとったりすることが可能です。キッチンを丸ごと移動する場合と違い、コンパクトなサイズを選べば、シンクの位置が大きく変わらないような位置に設置することも可能で、諦めていたキッチンの移動を可能に出来るかもしれません。
キッチン収納や、カウンターテーブルを置くために、キッチンのサイズを大きく出来ないと思っている方や、アイランドキッチンにしたいけどスペースが足りないという方にⅡ型キッチンはおススメです。コンロとシンクのそれぞれのキャビネットを、大容量の収納付きにしたり、対面の調理スペースを兼ねたりすることが出来るので、背面収納やカウンターテーブル、カウンター収納を別に設ける必要がありません。シンク付き、コンロ付きの家具という感覚で、部屋に合わせたテイストでレイアウトすることが可能です。
キッチンと横並びダイニングにしたいけど、ダイニングテーブルを並べるほどのスペースが無いというお宅でも、コンパクトなアイランド型のシンクを選べば、テーブルを横並びにする広さを確保できるかもしれません。テーブルではなく、シンクのキャビネットの天板を、ダイニングテーブルを兼ねた長いサイズにすることも出来ます。
キッチンを含む水回りを回遊導線にすることで、家事導線が良くなりますが、間口が広いキッチンを選ぶと、むしろぐるりと回る導線が長くなってしまうことがあります。しかし、Ⅱ型キッチンであれば、キッチンの間口がコンパクトになるので、回遊導線の距離もコンパクトにすることが出来て、家事導線がさらに良くなります。
キッチンの種類の選択肢が広かったところで、実際にどの種類のキッチンを採用するかは、それぞれの特徴、メリットだけではなくデメリットも比較して決めることが重要です。Ⅱ型キッチンには、どんなデメリットがあるのでしょうか?採用する際の注意点も含めてご紹介したいと思います。
シンクとコンロが前後にあることで、導線が短く、家事導線が良くなると感じる方がいる一方で、調理中に体を反転させなければいけないことで作業がし辛い、導線が悪いと感じる方もいらっしゃいます。
また、洗い物をしながら火にかけている鍋を見たい場合、I型キッチンであれば目を動かせば見える距離にありますが、Ⅱ型キッチンの場合は振り返って確認する必要があり、動作が増えてしまいます。コンロ側に子どもが立っていても、目に入りづらく危険というデメリットもあります。
Ⅱ型キッチンでの動作は、歩数に関しては少なくなるメリットがあるものの、体の動きに関しては大きく、多くなる場合もあり、それがメリットに感じるか、デメリットに感じるかは人それぞれです。自分にとって、スムーズな動きが出来るかどうかを確認したうえで採用するかを決めましょう。
食材をシンクからコンロ側に運ぶ際、I型キッチンであれば、天板の上を通るので水が落ちることはそれほど気にならないかもしれませんが、Ⅱ型キッチンの場合は、床の上に水が落ちることになります。そのため、特に無垢のフローリングなどは注意が必要です。クッションフロアなどの水に強い床材がおススメです。
さらに、動きやすいように、収納の扉や引き出しの開閉がしやすいようにシンクとコンロの間の通路幅を広くとりたいと思うかもしれません。しかし、あまりに広くなると、振り返る動作にプラス移動距離も増えてしまいます。水が落ちる可能性も高まってしまいます。見た目やLDKの広さのバランスを確認しつつも、キッチンでの一連の動きを実際にやってみたうえで、自分の動きに合った通路幅を取りましょう。
Ⅱ型キッチンを含め、キッチンの種類や特徴を知っておくことでレイアウトの幅を広げることが出来ます。シンクとコンロのキャビネットが分かれているⅡ型キッチンは、大容量収納を設けることが出来たり、サイズをコンパクトにして、マンションでもキッチンを移動させたり、対面キッチンや横並びダイニングを実現させたりすることが出来るかもしれません。しかし、体を反転させる必要や、動作が増えることが苦に感じる場合もあります。
キッチン選びの際には、間取りに合ったレイアウトに出来るか、また自分にとって動きがスムーズになるかという点をしっかり確認して選びましょう。