結論から言えば、リフォームとリノベーションについて決定的な定義や基準はありません。現在も多くのメディアやリフォーム業者などで、リフォームとリノベーションの言葉があいまいなままで、使用されているのが現状です。
リフォームもリノベーションも住まいを新しく作り変えることには変わりませんが、2009年5月に設立の一般社団法人リノベーション協議会では、次の様にリフォームとリノベーションを分類しています。
リフォーム「原状回復のための修繕営繕不具合箇所への部分的な対処」
リノベーション「機能、価値の再生のための改修。その家での暮らし全体に対処した、包括的な改修」
老朽化した住まいを新築の状態に戻すことをいいます。マンションやアパートの場合には、入居者が転居後に入居前の状態に戻す原状回復の意味を指す場合もあります。
リフォームには、壊れて使えないものを元の状態に戻すという意味合いが強く、不具合のある部分や表面的な破損箇所を、新品に取り替えて以前のように使うために行われるのがリフォームになります。
一方リノベーションは、住む人のこれからの生活スタイルや行動範囲などを考えて、表面的に見える改修工事だけではなく、壁の中や床の下にある配線や配管等も変更し、住人が暮らしやすい住まいに作り変えることを指します。
機能性を高めた設備の改修や取り付け。間取りの変更や通路の拡張など、住人のこれからのライフスタイルを考えた改修工事の他にも、趣味や様々な活動に合わせて部屋の照明や機材の設置。間仕切りを取り払い広いスペースを新たに作る事もリノベーションに含まれます。
マンションでは専有部分と共用部分とがあるので、基本的に部屋の中(ドアを除く)は専有部分で自由にリノベーションする事ができます。壁紙を変えたり照明を増設したり、住人のライフスタイルに合わせてリノベーションする事が可能です。
しかし、部屋の間仕切りを撤去する拡張工事でも、建物を支える構造壁(壁式構造マンション)の場合は簡単に撤去する事はできません。部屋の内装に関してのリノベーションでも、使われる資材が耐火性や防音性の基準をクリアした材料でしか利用できないこともあります。
マンションのリノベーションでは、住人の生活スタイルに合わせた本格的なお部屋作りが可能です。工事を考える時には、マンションの自治会に相談することや、管理規約の確認などの事前準備をしっかりと行う必要があります。