ひと昔前まではマイホームと言えば新築でしたが、今や中古物件を購入し、リノベーションをして住むという方法も選択肢のひとつとして当たり前になってきました。そんな、中古物件の中には、戸建てもあれば集合住宅もありますが、最近人気なのが団地です。
そこで今回は、特に子育て世代を中心に人気の団地リノベーションとは何なのか、どんな魅力があるのかについてご紹介したいと思います。
団地といえば、賃貸のイメージがあるかもしれませんが、団地をリノベーションするとはどういうことなのでしょうか?
マンションのような1つの建物に数件の住宅がある集合住宅とは別に、同一敷地内に共同住宅が数棟建っている団地には、旧日本住宅公団が運営していた公団住宅と、都道府県や市町村が運営している公営住宅があります。今も賃貸住宅のひとつとして知られる団地ですが、公団を中心に分譲されている物件もあり、そんな団地を購入して、住みやすい自分好みの内装や設備にリノベーションすることを団地リノベーションと言います。
団地の多くは昭和30~50年に建てられ、築40年を超える築年数が古いものが多いため、比較的安く購入することが出来るというメリットがあります。そのため、費用をリノベーションに多くまわすことができ、内装を一新して自分好みにこだわって作ることが出来るため人気です。
さらに、壁式構造という丈夫な造りが一般的で、構造そのものがしっかりしており、築年数が古いことこそが、安心できる構造の証拠ともなっています。また、古い造りから、押入れなど、ひとつひとつも間取りが大きく、リノベーションすることで、さらに使いやすい広い空間を手に入れることが出来るというのも団地の魅力のひとつです。
団地の魅力といえば、立地の良さです。町づくりが団地を中心に行われているケースも多く、団地の周りには学校やスーパー、中には団地内に銀行や郵便局など生活しやすい環境が大抵揃っています。新築では手に入れることが難しいと思える、立地条件の良い場所にマイホームを持てるというのが団地の魅力です。
また、日当たりや風通しの良い間取りが多く、隣接した棟と距離があり、緑化計画がしっかり行われているため都心でも緑に囲まれおり、子供達が遊べる公園が目の届く範囲にあるなど、団地内でひとつの町が出来ているため、温かな雰囲気で子育てしたいという子育て世代や、若い夫婦に人気の物件が多くあります。長年、団地に住んでおられる方や、幅広い年齢の方との交流など、古き良き日本の近所付き合いを感じられる場所としても注目されています。
現在、賃貸で団地に住んでおられる方も、間取りは好きではないけど、立地が良く住みやすいため、リノベーションして自分好みの家に出来ればベストなのに、と思う方は少なくありません。そのため、大手の家具メーカーがコラボしてリノベーション、インテリアコーディネートして賃貸したり、売りにだしたりしている物件が増えています。団地リノベ物件は賃貸物件としても人気になっているため、賃貸経営をしている方にとっても、団地をリノベすることで物件価値を上げることが出来ています。
子育て世代を中心に人気の団地リノベですが、戸建てをリノベーションする場合とは違う、団地リノベーションならではの、問題点や注意点があります。
丈夫な構造である壁式構造が、内装のリノベーションの際にデメリットになる場合もあります。それは、室内の間仕切りが木ではなく鉄筋コンクリートで出来ている部分もあるので、耐震性能上、撤去できないからです。間仕切りを全て無くすスケルトン状態にしてからのリノベーションが出来ない団地は少なくないので、希望する間取りが出来ない可能性もあります。
また、団地の間取りは縦で同じ場合が多く、水回りの配管が固定されているために、水回りの場所を大きく移動することが出来ないケースは少なくありません。移動できても、配管スペースを確保するために、床をあげる必要がある場合もあります。築年数の古い団地では、天井の高さが低めなので、床を上げることでさらに低くなり圧迫感が出るかもしれません。水回りを移動できない場合は、気に入った場所に水回りがあるか、充分なスペースが確保できているかを確認しておきましょう。
また、5階建ての一般的な団地の場合は、階段スペースが広くなかったりエレベーターが付いていなかったりするため、部材を運ぶのに重機が必要になって費用が高くなったり、そもそも搬入できなかったりする場合もあります。部屋の階数やベランダの位置、階段の幅もリノベーション内容や費用に影響するので確認しておきましょう。
中古の集合住宅の中でも団地に絞ると、物件数が少なくなるため、良い物件に巡り合う確率が低いという問題点もあります。築年数が古い団地がほとんどで、建替えも増えてきているので、分譲で手にいれることが難しくなっています。
団地に絞って中古物件を探すのであれば、時間がかかる可能性があることや、出会いを大事にすることを意識しておく必要があります。中古物件として団地が人気になっており、マンションとは別に団地というカテゴリーで物件を取り分けていることも多いので、物件探しをお願いするリノベーション会社や不動産会社に、前もって団地を候補に入れたい事を伝えて探してもらいましょう。
生活環境が整い、子育てしやすいという立地条件の良さ、また丈夫な構造で安心感があることから団地を購入してリノベーションをして住む、子育て世代や、若い夫婦が増えています。築年数が古い物件が多いとはいえ、その分費用が安いというのも団地の魅力で、購入費用を安く抑えリノベーションにあてることで、こだわりのマイホームを実現させることが出来ています。
リノベーションをしてマイホームを手に入れることを考えている方は、団地リノベを選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?