マンションの内装を仕上げる際、天井を作って、クロスを貼ったり塗装したりするのではなく、構造体のコンクリートをそのまま見せることをスケルトン天井と言います。
そんなスケルトン天井をリノベーションの際に取り入れる方が増えています。しかし、実際スケルトン天井ってどうなのでしょうか?天井の仕上げ方法やインテリアコーディネートの選択肢に入れても良いのか、メリットとデメリットを知っておきましょう。
まず、スケルトン天井にはどんなメリットがあるのか見てみましょう。
天井をクロス仕上げにする場合など、一般的には、下地を組んだり、石膏ボードを張ったりする分、天井が低くなります。しかし、スケルトン天井の場合は、下地が必要ないので、空間を最大の高さで利用でき、天井が高くなります。リノベーションによってスケルトン天井にしたことで、天井高さが50cmもあがるマンションもあり、開放感に大きく影響します。
そのため、高さに制限のあるマンション、特に築年数が古く天井が低めに造られているような集合住宅では、室内を開放的にする方法として効果的です。
構造体が見えるコンクリートの天井は、おしゃれなカフェや無機質でカッコいいブルックリンスタイル、男前インテリアを連想させるものとなり、コンクリートの天井が見えるだけでおしゃれな空間を演出してくれます。
ダクトや照明の配線をあえて見せる無造作感が、インダストリアルテイストを作るうえでもピッタリです。さらに、自然素材の床材や家具など異素材と組み合わせるなど、上級者コーディネートとしても人気です。
メリットのみを知って、リノベーションしてしまうと、生活していて問題が生じたり、思っていたのと違ったと、後悔したりするかもしれません。デメリットも知っておきましょう。
天井が組まれていた時は、天井と上の階の床の間に空間がありますが、スケルトン天井にすることで空間が無くなるので、上の階の音が伝わりやすくなり、うるさいと感じるようになるかもしれません。中には、上の階の排水管が天井裏(上の階の床下)に納められている場合、排水音が聞こえやすくなってしまい、スケルトン天井自体諦めなければいけない可能性もあります。
また、空気の層が無くなる分、断熱性も下がる可能性があります。天井も高くなるので、壁や窓など他の部分の断熱性がしっかりしていないと、冷暖房の効きが悪くなり、光熱費が高くなる可能性もあります。
構造的に問題ないか、プランニングの時点で天井裏や図面を確認しておきましょう。
天井に空間がないということは、照明の配線や換気扇のダクトなどを隠す場所が無くなります。それがおしゃれな部分ではありますが、一方で配線を上手く考えなければ、乱雑な印象を与えかねません。
そのため、シルバーダクトを使っていくつかの線をまとめる必要があるかもしれません。見えてもおしゃれなダクトデザインや色を選ぶ必要があり、材料費や施工費が高くなる傾向もあります。また、表面に出ているため配線やダクトにほこりが付きやすく、掃除をする必要があるというデメリットもあります。
照明に関しては、天井に埋め込んでスッキリ見えるダウンライトは使えないので、スポットライトやシーリングライトなど、使える照明器具が限られるというデメリットもあります。
構造や空間の広さなど、図面で確認できる部分もありますが、今ある天井を解体して開けてみないとわからない部分もあります。それはコンクリートの劣化状態や施工状態です。
築年数が古く、塗装しなければ見た目がボロボロで、そのまま使えない場合もありますし、工事中に必要な墨出しなどの数字が書かれた跡、設備機器が設置されていた穴の跡などが残っている場合もあります。
それもスケルトン天井の味として上手くコーディネートできる方も多いですが、中には、イメージが違うと急遽塗装をしたり、クロス仕上げにするため天井を組んだりする場合もあり、費用も施工期間にも影響します。解体してみないと分からないという不安要素があることも覚えておきましょう。
天井を高く開放的にするうえで、またクールで無機質なコンクリートがおしゃれな内装を演出してくれるという理由で、構造体を見せるスケルトン天井は人気です。
しかし、その一方で家全体の防音性や断熱性を考える必要があったり、配線・配管が見えることからコストが高くなったり、コーディネートをよく考える必要があること、また実際に天井を解体して見てみないと、見せられる状態の天井かが分からないというデメリットもあります。もちろん、メリットの方がデメリットを上回っていると感じる場合もありますし、デメリットもリノベーションによって解決できる場合もあります。
メリット・デメリットはもちろんのこと、リノベーションの際にはデザイン性、実用性、快適さなど色んな角度からプランを考えるようにしましょう。