3回目となる緊急事態宣言が発令され、国としてはリモートワークを推進しているにも関わらず、なかなか定着しないという現実があるようです。仕事内容によってはどうしても通勤が必要となる仕事もありますが、中には一度リモートワークを試みたものの、上手くいかなかったというケースもあります。その理由としてあげられるのが、自宅の環境にあるようです。
リモートワークのための環境を整えるため、また集中して仕事が出来る部屋にするためにはどんな工夫が必要かご紹介したいと思います。
リフォームやリノベーションによってリモート部屋を作った方の中でも、残念ながら使わなくなったというケースは少なくありません。ただ空間を確保するだけではなく使い勝手の良い、集中できるリモート部屋にするためには、まずよくある問題点を知っておきましょう。
仕事そのものが行える空間はあっても、リモート会議の環境が整っておらずリモートワークの難しさを感じている方は多いようです。リモートワークでのコミュニケーション不足を防ぐために、定期的なリモート会議を行っている会社は少なくありません。むしろ通勤していた時より会議が増えたという方もいます。
パソコンに向かって黙々と一人で仕事をするだけであれば、人気の間取りであるリビングの一角に空間を設けるだけでも問題ないかもしれませんが、毎日のようにリモート会議が多い方にとっては、周りの音やプライベートの映り込みが気になってしまい、自分だけでなく相手も集中できなくなってしまいます。
また、Wi-Fiは使えるようにしているものの、部屋を作った場所がネットの入りにくい場所や造りで、ネットが安定せず会議がスムーズに行えないという問題もあります。ネットに繋がっていても使えなければ意味がないので、部屋の場所にも注意が必要です。
リモートワークが出来る充分なスペースが確保できたものの、そこが集中できる場所ではなかったという問題もあります。音の問題もありますし、狭いスペースで充分な仕事でも、息がつまりそうになる、照明環境が悪くパソコン画面が見にくかったり、暑すぎる、寒すぎるという室温の問題を抱えたりしたというケースもあります。
コンセントの数が足りず、電子機器にコンセントを使うため、冷暖房機器の電源がとれなかったという失敗例もあります。結局は、リモート部屋ではなく、快適なリビングで仕事することになり、リモート用に作った部屋は使わないようになっていることもあります。
さらに意外と多い問題が、環境は整っていても一人で仕事をすることに孤独を感じストレスになるという問題もあります。気分の切り替えがしやすい間取りや、好きな物や好きな家具に囲まれる工夫が必要かもしれません。また、オンラインで仕事仲間と繋げながら仕事をすることで、仲間と働く楽しさを取り戻せたというケースもあります。そのためにも、リモート会議が出来る環境づくりは必要です。
では実際に、仕事に集中できるリモート部屋を作るためには、どんな点を意識すれば良いのでしょうか?
リモート部屋の最大の問題点とも言える防音性に対処するためには、リモート部屋を、防音材を使って仕上げるということも出来ますが、リノベーションで間取りから考えるのであれば、リモート部屋の位置を意識してみましょう。
リモート会議が行われる時間帯に家族がどの部屋で過ごしているか、トイレなどの水回りの横になっていないか、隣の家の部屋の場所や、公道の場所、建物の共有廊下の場所、会議しづらい状況を生み出しかねない音の出所を意識したうえで間取りを考えることが重要です。夫婦共にリモート会議が必要な仕事をしている場合などは特に、同じ空間ではなく、寝室を挟んでそれぞれのリモート空間を設けるなどの工夫が必要です。
さらにリモート会議中の画面によってプライベートが見えてしまわないように、部屋に室内窓を設ける場合、背面ではなく、前面に設けるようにしましょう。しかし、そのような配置にすると本棚などの収納場所が背面になるのも嫌だと感じるかもしれません。
スペースの関係上、棚に扉をつけることは難しい場合は、棚の前や座席の背面にロールスクリーンを設置することで、画面上バックを整った綺麗な状態にすることができ、会議にも集中しやすくなります。ロールスクリーンであれば、使わない時は巻き上げることが出来るためスペースが狭くなることも防げます。自分で工事後に取り付けることも可能ですが、設置には場所や重みが影響するので、リモート部屋を作る時点で天井の補強を確認するなど、前もってリノベーション会社に設置の要望を伝えておきましょう。
狭くて息苦しさを感じるケースの中には、実は適切な換気が出来ていないこともあります。元押入れやクローゼットなどの閉鎖された空間にデスクを設けてリモート部屋にしているため、空気がこもってしまい、軽い酸欠のような状態になる可能性もあります。換気扇を付けたり、室内窓を設けたりすることで風が流れる仕組みを作っておきましょう。
また、ドアを設ける場合、開き戸にすると換気のために少しだけ開けたくても、ドアが邪魔になる可能性があります。そのため、引戸にしておくことで全開にしても、少しだけ開ける場合でも、ドアが邪魔になることなく換気が行えます。
さらに、狭い空間では室温や湿度が高くなってカビが発生したり、内装材に使われている化学物質に体が過敏に反応してしまったりする危険性もあります。健康を害してしまうと集中力にも影響を与えてしまいます。仕事が出来る空間があれば良いと思わずに、狭い空間だからこそ、集中力が必要な場所だからこそ、体に良い内装材にこだわって調湿効果のある自然素材を使うことを意識してみましょう。
国や会社がリモートワークを推進していても、家の環境が整っていないと実際的ではないと感じるかもしれません。また、リモート部屋としてのスペースを確保できたとしても、リモート会議に適していて、仕事に集中できる部屋でなければ、すぐに使わなくなる可能性もあります。そういった問題を防ぐためには、問題になりそうな点をよく考えたうえで、音や換気を意識した位置に部屋を配置すること、室内を快適に保てる内装材にすることを意識してみましょう。
ただ外出しない、人と会わずに仕事するというだけではなく、ストレスなく楽しんで仕事を出来るような家、リモート部屋を目指しましょう。