コロナ禍でのオリンピックや夏休みを前に、夏を家で過ごす時間が長くなることを懸念しておられる方が多いかもしれません。その理由として、テレビの前で興奮して競技を見たり、子ども達と家の中で遊んだりして、家の中での音がご近所迷惑にならないか、反対に家の中でゆっくり過ごしたいのに近隣の音が気になって居心地が悪い、という点があげられます。
どんなに良い間取りで、お気に入りの家具に囲まれ、趣味を満喫できる家にリノベーションしても、音を気に掛けて過ごすとストレスになってしまいます。そこで今回は、どのように防音対策が施された家に出来るかを、ご紹介したいと思います。
家の防音性をアップさせるためには、どこをどのように防音にすれば良いのでしょうか?
集合住宅にお住まいで、小さなお子さんがいたり、夜型で深夜の時間を楽しんでいたりする方は、周りの音ではなく自分達が出す音で下の階の人に迷惑をかけないかと心配になるものです。下に音を響かせないようにするためには、床の防音性を高めておくことが効果的です。
防音機能のあるフローリング材を使ったり、床材の下に遮音マットを敷いたり、吸音性のある断熱材を床に敷き詰めたりすることで、床の防音対策が行えます。
最近は、健康を維持するために家にホームジムを設ける方も増えており、室内で筋トレ用の道具やマシンを置く音や足音が下の階の方との音トラブルなるケースもあるので、生活音は問題が無い場合でも、部屋の用途に合わせて床の防音対策をしておくことが重要です。
音問題は、上下階だけでなく隣の家からの影響も考える必要があります。近隣や外からの音を防ぐには、壁の防音対策が効果的です。壁の中に、吸音材や遮音シートを入れたり、断熱材を入れたりすることによって防音対策が行えます。
さらに、壁の内側に防振材を入れることによって、近隣の音を入れないだけでなく、自分の家の音を近隣に伝えない工夫ができ、近隣との音トラブルを防ぐことが出来るかもしれません。
防音対策といえば、壁や床に注目されますが、意外と窓からの影響を受けています。特に、ガラス部分からの影響があるので、窓ガラスを2枚合わせた複層ガラスや防音合わせガラスに変えることで、窓の防音性能を高めることが可能です。しかしマンションなどの集合住宅では、窓そのものを変えることが規約で禁止されていることが多いので、確認しましょう。窓の交換が難しい場合は、内窓を付けたり、遮音カーテンを付けたりして窓からの音対策が行えます。
さらに窓と同様、外からの音の影響を受ける部分に換気口があります。換気口にキャップを付けたり、ダクト内に吸音材を入れることで防音効果が得られます。
防音材というと、人工的に作られた建材をイメージする方は多いかもしれません。そのため、内装にこだわって、健康に配慮して自然素材を採用したいと思っている方の中には、自然素材でも防音対策は出来るのだろうか、と心配される方は少なくありません。自然素材の防音効果についてご紹介したいと思います。
防音室などで使われる壁には、凹凸があります。これは、音が凹凸に当たって反射することで次第にエネルギーを失い反響を抑えて防音機能を果たしてくれるからです。
自然素材の中には、この凹凸を既に持ち合わせているものがあります。例えば、自然素材として壁材に使われる、珪藻土や漆喰には、目に見えない小さな穴が空いています。この穴によって空間の調湿効果を期待できることは有名ですが、穴があることで防音効果も得られます。さらに、これらの壁材は密度が高いため、一般的なボードにクロスを張って仕上げる壁と比べて遮音性も高くなります。
他にも床材ではクッション性のあるコルクは吸音効果を期待できるので、ペットや子ども達が走っても、安全で音が響く不安も軽減できる素材として使えます。
本格的な防音リフォームの必要を感じない方でも、内装材に自然素材を使うことで、健康に配慮できるだけではなく防音・遮音対策にもなります。
内装材で防音性能を上げること以外にも、壁や天井に断熱材を入れることによっても防音性を上げることが出来ます。
断熱材の種類の中には、木質繊維のセルロースファイバーや、木や羊毛を使った自然素材の断熱材があります。シックハウス症候群の方など、構造部分を含め、全て自然素材で家をつくりたい方には、内装材だけでなく自然素材の断熱材を入れることで、防音性を高めつつも安全で快適な家にすることが可能です。
オリンピックを家の中で楽しんだり、夏休みで家にいる時間が長くなったりすると、近隣の音や、自分達の生活音が気になってストレスの原因になるかもしれません。ストレスを防ぐために、床や壁の内側に吸音材や断熱材を入れたり、都心で周りが一日中音に囲まれていたり、大通りや線路に面していたりする家は、リノベーションの際に窓や換気口の防音対策をしておくことで、家を音の面からもプライベート空間に保ちやすくなります。さらに、自然素材を内装材に使うことで、健康に良い快適空間になるだけでなく、自然がもつ素材の構造で防音対策を行うことも出来ます。
音トラブルが発生してから防音リフォームを行うことも出来ますが、中古物件を購入した際や、リノベーションを行う際には、間取りや内装材など目に見える部分だけでなく、耳から受ける影響も意識した家づくりを行うことで、快適なプライベート空間を楽しめる家にすることが出来ます。