リノベーションやリフォームで設けて良かった部屋、もう一度家作りをしても採用したいスペースとして人気なのがパントリーです。しかし、家の間取りに必須の場所なのか、と採用を検討している方は少なくありません。
そこで、そんなパントリーについて、またパントリーの良さを最大限に活かせる間取りについて今回は取り上げたいと思います。
そもそもパントリーとは何でしょうか?間取りの中に当たり前のように取り入れられることが増えてきたものの、本当に便利なのでしょうか?
パントリーとは簡単に言うと、キッチン専用の収納庫です。食品庫として使われることが多く、食品や飲料のストック場所として使われます。また、食器棚を無くし、パントリー内に食器や家電全てを収納しているお宅もあります。パントリー内に収納することで、LDKの生活感を隠すことが出来て便利です。
最近は災害時の自宅避難やコロナ禍での緊急事態宣言中の外出を控える時期に備え、食品のストックの必要性を感じている方は増えているため、パントリーの重要性が注目されています。
多くの家で採用されていることからも分かるように、パントリーはキッチン収納としてとても便利です。しかし、ただスペースを設けるだけで、導線や間取りを考えていなければ使い勝手の悪いものになってしまい、ただの物置、物が増えて片付かない場所になってしまう可能性があるので注意が必要です。
例えば、キッチンの横にパントリーを設けることが一般的ですが、冷蔵庫や食器棚のスペースを確保したことで、パントリーの位置が遠くなり、キッチン収納としては使い辛くなったという失敗例があります。リビングに近すぎて、食品庫としてではなく生活用品が増え、結局キッチンに物が溢れてしまうというお宅もあります。また、キッチン近くに配置したものの、開き扉を付けたことで、開閉が面倒だったり、扉が邪魔だったりして不便というお宅もあります。
また、間取りに加え、パントリー内のレイアウトもしっかり検討していなければ使いづらいものになってしまいます。とにかく棚があれば良いと、棚数を増やし奥行きを深くとってしまったパントリーは、高さの低い物しか入らないうえに、何がどこにあるか分かり辛く、期限が切れてしまうものが続出するという失敗例もあります。さらに、狭くなっても良いからと全面に棚を設けたことによって、しゃがむことができない、手を伸ばすことや持ち上げるために腕が曲げられない、暗すぎて見えない、など使い辛い状態になってしまっているケースもあります。食品庫としての小スペースで問題ないと思っていた方の中には、パントリー内にホットプレートやかき氷機など、毎日は使わない家電が置けると便利だったと後悔される方は少なくありません。
棚数が多いのは問題ありませんが、様々な物が入るように、可動棚にしておくことや、収納したい物をある程度決めたうえで、物に合った奥行の棚にすること、パントリー内の広さと、その中での動作を確認して充分なスペースを確保しておくことも重要です。
本来は便利なはずのパントリーですが、間取りが悪ければ良さを充分に発揮できない可能性があります。パントリーを使いやすくするためにおススメの間取りを2例ご紹介したいと思います。
パントリーをメインで活用する人のほとんどは、料理をするためにキッチンに立つ方や、洗濯など家事全般を行う方です。そのため、パントリーの場所は、キッチンに近いだけでなく、洗面脱衣所や浴室など、家事導線がスムーズに行える位置に設けることがおススメです。パントリーを独立した個室にしてしまうのではなく、2カ所出入口を設けて家事導線の通路として使うことが出来るかもしれません。通路を挟んで両面に可動棚を設けることで収納スペースも確保できます。パントリーと家事室を繋げているお宅もあり、家事室に設けたカウンターで家計簿をつけながら、ストックを確認できるなど便利です。
また扉は引戸にするか、扉無しのオープンにしておく方が、扉を開ける手間が省け、導線がスムーズになります。洗面所や家事室と繋がる間取りにしている場合は、風通しも良くなるというメリットがあります。
冷蔵庫にすぐに入れるような食材と違い、パントリーに入れる物はストックする水や缶詰などが多いかもしれません。それらの物は重く、量も多いため帰宅後にすぐに収納するというよりも、ひとまずリビングやキッチンに運んで、徐々に所定の位置に片付けるという方が多いようです。しかも、コロナ禍の現在、手を洗ったり、除菌したり、帰宅後に行うことが多く、荷物は後回しになるだけでなく、邪魔とさえ感じるかもしれません。
そんな問題を軽減する間取りとして効果的なのが、パントリーを玄関からの土間続きにするという方法です。キッチン横に設けたパントリーを、玄関横のシューズインクローゼットからも入れるようにしておくことで、靴を脱がずに、荷物をパントリー内に置くことが出来ます。さらに、そのままキッチンに進めるので食材を購入した際の帰宅後の動きが楽になります。
食品が多い空間でもあるため、パントリー内は土間にする必要はありませんが、半分土間にしておくか、シューズインクローゼットまで土間にしておき、直接入れるようにすることで、帰宅後の導線がスムーズになります。また、シューズインクローゼット内に、手洗い器を設けることで、手を洗って室内に入ることも可能ですし、マルチシンクのような大きめの洗い場を設置するなら、庭先で採れた野菜を洗ってパントリー内に直接は入れるので便利です。この間取りは、キッチンで家事をしている場合も、来客や帰宅する家族をすぐに迎えるために玄関に行けるという点でも便利な間取りです。
食品庫としてキッチン収納に便利なパントリーは、防災時のストックが出来るスぺ―スとしても人気です。しかし、間取りやサイズ、パントリー内のレイアウトをしっかり考えていなければ、不便なもの、逆に片付かない場所を作ってしまう可能性があります。キッチンだけでなく水回りに近い家事導線の良い場所や、玄関から直接入れる土間続きの間取りにするなど工夫しましょう。
パントリーを作る際には、あれば良い、というわけではなく何を収納したいか、どのように使いたいかを前もって考えたうえでパントリーを間取りに取り入れることで、便利な暮らしを手に入れましょう。