ウォークインクローゼットやシューズクローク、パントリーなど、収納にも様々な名称があり、それぞれの収納によって部屋が片付くだけでなく、家事をラクにしたり、導線をスムーズにしたりすることが出来るようになります。そんな便利な収納のひとつにファミリークローゼットがあります。ファミリークローゼットはリノベーションの際にも、よく提案されるようになり採用するお宅も増えています。
では、ファミリークローゼットとは何でしょうか?リノベーションで取り入れることにメリットはあるのでしょうか?
リノベーション会社に提案されるがまま、便利そうという漠然とした理由だけでファミリークローゼットを取り入れるなら後悔する可能性もあります。まずは、ファミリークローゼットの特徴やメリットとデメリットを知っておきましょう。
ファミリークローゼットとは、名前にファミリーとあるように、家族で共有するクローゼットです。一般的に、単純に共有できるということではなく、家のクローゼットをひとつに集約することを目的として設けられたクローゼットを指しています。
数人分の洋服を収納するため、2帖から4.5帖程のウォークインクローゼットタイプになっていることが多く、リビングの近くや階段ホールの近くなど、家族が使いやすい位置にひとつの部屋のように配置することが一般的です。
今まで、子ども部屋や寝室など、それぞれの個室にクローゼットを設けていたのであれば、ファミリークローゼットにすることで、個室にあるクローゼットが必要なくなるため、部屋を広くとることが出来るようになります。結局は、1箇所にまとめるだけで広さは変わらないのではないかと思われるかもしれませんが、実際には各部屋の間仕切り壁が無くなることやクローゼットの扉が1箇所で良いことなどから、1つにまとめる方がスペースの有効活用ができます。
洗濯物を取り込んだ後に片付ける際、ひとつの場所にまとまっているため、家事導線が短くなり時短にもなるというメリットがあります。
寝室にないため、起きてすぐに着替えたいという方にとっては、部屋を移動する必要があり面倒だと感じるかもしれません。移動を減らすためにクローゼット内で着替えたいと思っていても、家族が多いお宅や、思春期のお子さんがいるお宅では、広いスペースが必要になったり、他の人に入ってほしくなかったりするケースもあり、待ち時間や手間が増えてしまいます。
家族で共有することにより、個人用のクローゼットよりも収納量が増えるケースもあるというメリットがある一方で、スペースが確保し辛いという曖昧さが生じる可能性もあります。また洋服好きな方やクローゼット内のインテリアコーディネートも楽しみたいという方にとっては、好みの違う家族の洋服が気になるかもしれません。それぞれの洋服の香りがうつるという問題もあります。
ファミリークローゼットのメリットとデメリットを知ったうえで、やはりリノベーションの際に間取りに取り入れたいと思った方も多いかもしれません。実際に取り入れる際には、どのような点に注意すると良いのでしょうか?
2人以上の家族でファミリークローゼットを設ける場合は、ファミリークローゼットメリットをいかしつつ、デメリットを無くすために、ファミリークローゼットを1つだけにすることにこだわらないようにすることはおススメです。1つにするのではなく、まとめるということを意識しましょう。
例えば、夫婦で1つ、子供たちで1つにしたり、1階と2階の各階に1箇所ずつファミリークローゼットを設けたりすることが出来ます。さらに用途ごとにまとめることも出来るかもしれません。例えば、下着やパジャマ、部屋着だけを洗面脱衣所内にまとめて収納できるスペースを設けたり、アウターやバッグ類は家族共有のシューズクローク内に収納したりして、各洋服はそれぞれの部屋に収納することで、導線がスムーズになります。
ただまとめるだけでなく、ファミリークローゼットへのアクセスが良い間取りにすることで、さらに導線や家事をスムーズ行えるようにすることが出来ます。
その点で、ファミリークローゼットを回遊できる、ウォークスルータイプにしたり、ランドリールームや家事室に隣接させたりする間取りが人気です。ウォークスルータイプなら、ファミリークローゼットを挟んで、洗面脱衣所とベランダやランドリールーム、夫婦の寝室など使いたい時にすぐ行ける間取りにすることが出来ます。
しかし、ウォークスルータイプにする場合は、扉や通路の分、収納スペースが減るというデメリットもあるので、どれだけ収納量が必要かも注意して間取りを考えましょう。
家族の洋服収納をひとつにまとめるファミリークローゼットは、部屋を広く使えたり、導線や家事がスムーズになるというメリットがある一方で、思ったより使い勝手が面倒になったり、収納スペースが確保出来なかったりするというデメリットがあります。自分の家や家族にとって、メリットになるか、デメリットになるかをよく判断したうえでファミリークローゼットを取り入れるかどうかを考えましょう。また、取り入れる際には、ただファミリークローゼットを設ける、クローゼットをまとめるだけでなく、導線や間取りもしっかり考えたうえで設けるようにしましょう。
リノベーションは、家の数や家族の数だけ、間取りや方法があります。決まったカタチがないからこそ、メリットやデメリットを知って、自由にプランニングしましょう。