間取りをオーダーメイドで考えて工事することが出来るリノベーションでは、自由な発想で家を造ることが可能です。そのため、中には使い勝手や広さをしっかり検討した結果、家や空間を斜めに間仕切る間取りにしたり、設備機器を部屋に対して斜めに設置したりするリノベーションをする方もいらっしゃいます。
少し珍しい、斜めに間仕切ることには、どんなメリットがあるのでしょうか?また、反対にデメリットはないのでしょうか?
玄関から、斜めに伸びる廊下や、斜めに仕切ることで、部屋を長方形ではなく台形やひし形にする場合、さらには、キッチンやカウンターを空間に対して斜めに設置する場合など、斜めに間仕切ることには、どんなメリットがあるのでしょうか?
部屋は真っすぐ、長方形に、というのが一般的な間取りや間仕切り方なので、斜めに仕切りがあることで、オリジナリティ溢れる、モダンでオシャレな空間になります。斜めのラインは、空間に動きを出し、ポップテイストと組み合わせることで、遊び心のある空間にも演出できます。
また、斜めの間仕切りや斜めに配置することで、大抵の場合、部屋の寸法が規格サイズではなくなるため、細かな点までこだわってリノベーションしたことを感じさせます。
斜めに間仕切ることで、フローリングも斜め張りになり、長く奥行きがあるように見えるため、部屋が広く、開放的に見せる効果があります。例えば、玄関の土間部分と玄関ホールの境目である框部分を斜めにすることで、実際には面積は同じですが、広く感じさせることが出来ます。
また、台形の部屋に関しても、実際に広がっていく空間は、視覚的にも開放的に感じます。そのため、狭さを感じやすい廊下や、トイレをあえて斜めに仕切ったり、台形の空間にしたりすることで、視覚的に広く見えるようにするお宅も少なくありません。
家を斜めに仕切ることにより、見た目の効果だけでなく、長手方向の壁や床は、実際に長く、広く使うことが出来ます。
例えば、廊下を家に対して斜めにとるなら、壁面が長くなるので、絵を飾るスペースが広くとれ、美術館のような雰囲気になります。壁面が広いことで、場所をとらず、バリアフリーにもなる引き戸を採用することも出来るかもしれません。また、部屋に対して垂直・平行に配置すると通路が取れないアイランドキッチンでも、斜めに配置することで、通路幅が取れるようになる場合もあります。カウンターやダイニングテーブルも、斜めに配置することで、座れる人数を増やすことが可能になるかもしれません。
そのため、リノベーションで間取りをプランニングする際に、お気に入りの家具や、気に入った設備機器が入る角度で、家の中に配置した後に、間仕切りを立てて間取りを決めていくという方法で、お気に入りの家具やキッチンを置けるようにした方もいらっしゃいます。
ここからは、斜めに間仕切ることによって生じるデメリットをご紹介します。実際にリノベーションの際に採用するかどうかは、デメリットについても知ったうえで検討しましょう。
部屋や壁のど真ん中に配置するような家具であれば問題ないかもしれませんが、部屋の角は鋭角になるため、家具の配置が難しくなってしまいます。また、部屋の角度に合った家具は、既製品では売っていないというデメリットもあります。
そのため、メリットで取り上げたように、大きめの家具や設備に合わせて斜めの間取りを考える場合でも、他の家具がうまく配置できるかどうか、家具のサイズや位置を図面に落とし込みながらプランニングしましょう。また、デッドスペースになりやすい角部分に造り付けの棚や収納を設けたり、フロアライトや観葉植物を飾ったりするなどの、使い道を決めておくなら、デッドスペースにならずにすみます。
メリットと相反して、斜めにすることで狭く見える場合もあるので注意が必要です。台形の部屋は特に、広がる方向を見れば広く感じるということは、反対に狭まる方向から見ると、部屋は狭く見えてしまうということになるからです。
この場合も、デメリットを視覚的に解決するため、角になる部分に収納を設けたり、窓がくるようにしたり、観葉植物を置くなどの工夫が必要です。
長方形の部屋に合わせて張るフローリングや壁紙に比べ、斜めに間仕切った部屋に張る場合は、斜め部分のロスが出てしまうので、内装材が余分に必要となり材料費が高くなる可能性があります。工事の手間もかかるので、工期も長くなってしまうかもしれません。
リノベーション費用を抑えたいと思っておられる方は、間取りや間仕切りの種類によっても費用が変わるので、確認が必要です。
家や空間を間取りや間仕切り壁によって斜めに仕切る方法は、モダンでオシャレな空間に仕上がります。また、部屋を広く開放的に見せたり、広い壁面を使って、絵を飾ったり、引き戸を取り付けたりすることも出来て、メリットが沢山あります。しかし、よくプランニングしたうえで採用しなければ、部屋の角がデッドスペースになったり、狭く感じたり、リノベーション費用が高くなったりする可能性があります。
デメリットを前もって理解しておけば、ちょっとした工夫で解決でき、メリットにすることさえ出来ます。自由な発想でプランニングすることで、空間を斜めに間仕切るというメリットを最大限に生かした家にリノベーション出来るかもしれません。