壁を無くしてオープンにする、反対に壁を使って間仕切る、などリノベーションでは壁の有無で間取りを大きく変えることが出来ます。しかし、空間を分ける方法は他にもあります。セミクローズドタイプの空間にする方法です。リノベーションでセミクローズドタイプを採用したことで、一見正反対と思えるような願いが叶ったという方も少なくありません。
セミクローズドタイプの空間とは、どのような空間なのでしょうか?また、セミクローズドタイプの空間を取り入れることにはどんなメリットがあるのでしょうか?リノベーションで取り入れる方法を含め、ご紹介したいと思います。
セミクローズドとは、どのような空間を指すのでしょうか?セミクローズドのメリットとは何でしょうか?
セミクローズドとは、完全個室ではない、半個室の空間のことを指します。似ている名称としてセミオープンがあり、意味としてはほとんど同じような空間を指して使われています。空間としては、間仕切られているものの、壁の一部が腰壁になっていたり、ガラスなどの透明の素材で隣の空間が見えるようになっていたり、扉を無くしてオープンな出入り口になっていたりする空間です。中には、フルオープンにしたいものの、抜けない柱や梁がある場合なども、上手く活用してデザインとして取り入れてセミクローズドタイプの空間にする場合もあります。
セミクローズドタイプにすることで、採光や通風の出来る開放感のある個室になることや、隣の空間にいる人を感じられる空間にすることが出来ます。また、部屋の一部を隠しつつも、オープンに見せたい部分やデザインがある場合にも、効果的なスタイルです。個室にしたい反面、家族を感じられる空間にしたい、隠したい反面、見せたい、といった一見正反対に思える願望を叶えてくれる方法です。
セミクローズドタイプが一般的に使われる場所として、庭や玄関アプローチなどの外構部分や、家の中ではキッチン空間で取り入れられることが多くあります。
セミクローズドタイプのキッチンは、キッチン周りを壁で囲み個室のような雰囲気を残しつつもキッチンの正面部分の壁を無くし、対面できるようになっています。システムキッチン背面に隣接する腰壁の高さを変えることで、手元や背面収納を隠すことができます。また、対面オープンにする部分を小さくして、下がり壁を設けることで、吊戸棚を設置できるというメリットもあります。
セミクローズドタイプのキッチンは、壁付けキッチンと対面キッチンの良い所取りが出来るスタイルと言えます。
キッチン以外にも、どのような場所でセミクローズド空間を作ると便利なのでしょうか?リノベーションでセミクローズド空間を作る際のアイテムと共にご紹介したいと思います。
コロナ禍になり、人気になった間取りが、ワークスペースをセミクローズドタイプにする方法です。仕事をしながらも、子供や介護が必要な家族の様子を見たい方や、子供の勉強部屋にして、勉強している姿が見えるようにしている場合もあります。
また、一人暮らしの方やカップルで仕事部屋と生活空間を分けてメリハリを付けたいけれど、部屋が狭くなったり、暗くなったりするのは嫌という方にも、セミクローズドタイプのワークスペースは人気です。
カウンターデスクを設置している壁だけを、座った際に顔が見える腰壁にしたり、室内窓を付けて中が見えるようにしたりすることが出来ます。開放的なワンルームのお宅でも、壁を一部だけ立ち上げて扉は付けずに、部屋の一角に集中できるセミクローズドワークスペースを作ることも出来ます。壁以外にも、天井まで高さのない本棚や収納を使って間仕切ることで、空間を分けつつも収納も増やすことが出来て便利です。
セミクローズドのメリットを最大限に生かせる場所として、おススメなのが家事室をセミクローズドタイプにすることです。家事は、キッチンや洗面脱衣所など、様々な場所での作業があります。洗濯と料理、掃除など同時進行で行うことも多く、隙間時間に家計簿を付けたりパソコンで副業を行ったりすることもあり、ある程度個室にしたいものの、家全体を把握できる場所に家事室を設けたいという方は少なくありません。
そこで便利なのが家事室をセミクローズドタイプにすることです。キッチンの裏側に家事室を設けつつも、壁の一部をくり抜き、シンクやリビング内が見えるようにしたり、ランドリールームやキッチンの隣に家事室を設ける場合も、扉は付けずに、オープンな出入り口にしておくことで、すぐに移動できるようにしたりして、セミクローズドを取り入れることが出来ます。
個室でもオープンな空間でもない、セミクローズドタイプの空間は、個室にしたい反面、家族を感じられる空間にしたい、隠したい反面、見せたい、といった一見正反対に思える2つの願望を実現させることが出来る方法です。壁の高さを調整することや、扉をつけないこと、壁をくり抜いたり、室内窓を付けたり、様々な方法でセミクローズドタイプの空間にリノベーションすることが可能です。
ワークスペースや家事室など、完全個室にする必要はないものの、空間として分けたい場所を作るうえで、セミクローズドというスタイルを検討してみるのはいかがでしょうか?