春の芽吹きの時期になると、花粉症と闘わなければいけないという方は少なくありません。個人レベルで花粉症対策に励むことも出来ますが、居住空間である家が花粉症対策出来るようになっていれば、必要以上に体力を奪われずにすむかもしれません。
リノベーションによって、どのように花粉症対策が出来る家にすることが出来るのでしょうか?そのポイントとリノベーション工事の際の注意点をご紹介したいと思います。
自宅で花粉症対策を行うためには、『家の中に花粉が侵入することを防ぐこと』と、仮に入ってしまっても、『花粉が舞い上がらないようにすること』を意識した家にすることが大切です。この2点をどのように間取りや設備で対策することが出来るのでしょうか?ご説明したいと思います。
帰宅時や来客時に、外気に舞っている花粉や衣類に付着した花粉が玄関より先に入り込まないように意識した間取りにすることが大切です。例えば、居室を広くとるためや、開放的にみせるために玄関ホールや廊下の無い家は人気ですが、花粉症対策の観点では、花粉が玄関から入ってしまうと一気に家の奥まで入りやすくなってしまうというデメリットがあります。ホールや廊下があることで花粉が室内に侵入することを防げます。また、玄関でアウターを脱いで入っていけるように、玄関ホールやシューズクローク内を広めにとり、衣類を掛けられるスペースを設けることや、玄関から脱衣所への導線を短くして洗濯機に衣類を入れやすくしておくことも役立ちます。
家の広さを考えて、廊下や個室を確保することが難しい場合は、間仕切りドアなどによって空間を仕切ることが出来るようにしておけば、花粉の時期だけドアを閉めて玄関からワンクッションおけるスペースを作ることが出来ます。特に、透明のスクリーンやガラスによって採光できるドアやハイドアにすることで、ドアを閉めていても開放感を保つことが出来ます。
また、LDKがワンルームになっている場合も、窓がある部分から花粉が入ってしまうと、一気にリラックス空間に広がってしまいます。広々としたLDKのメリットを活かしながら花粉症対策を行うのであれば、窓際にインナーテラスのような空間を設け、採光が出来る間仕切りドアや壁と室内窓によって仕切ることで、LDKを明るい空間のまま花粉が居住空間に一気に入り込むことを軽減できます。インナーテラスを設けることは、花粉の時期に洗濯物を室内干しする空間としても使えるので、花粉症対策が出来る家として一石二鳥です。
さらに、花粉やウイルスを家の中に取り込みにくい、第一種換気システムを設置するという方法もあります。フィルターを併用すれば、機械によってキレイな空気を家の中に送りこむことが出来るのでウイルス等の感染対策にも効果的です。
花粉の時期でも、窓を開けて換気をしたり掃除をしたりしたいと思うこともあります。そのように花粉が家の中に侵入してくるような状況でも、花粉が舞いにくい家にしておくことで、花粉症の症状を軽減することに役立ちます。
例えば、換気で窓を開けた時に、空気清浄機を使って花粉を吸いこむことによって花粉が舞い上がることを軽減できます。その際には、空気清浄機を置く場所によって効果が変わるので意識しましょう。花粉の吸い込みに関して効率が良いのは、2つの窓を開けて換気する場合、空気が入ってくる窓の正面の隅に空気清浄機を置くと吸い込み量が上がります。効率の良い場所に設置することを意識して、リノベーションで間取りを考える時点で、窓の位置に対して空気清浄機を置く場所も家具のように計画して図面に記載してもらいましょう。そうすることで、導線を邪魔したり、空間の凹凸が出来て狭く感じてしまったりすることを防げます。空気清浄機用のコンセントを設けることも忘れないようにしましょう。
また、換気システムを導入した際には、排気口を床に設置しておくことで、床に溜まりやすい花粉を舞い上がる前に排出出来ます。吸気口と排気口の位置をよく考えて設置することが大切です。
花粉症対策が出来る家のポイントが分かったうえで実際にリノベーション工事をする際には、どんな点に注意すれば、スムーズに予定通りの家にすることが出来るのでしょうか?ポイントをご紹介したいと思います。
リノベーションの工事を依頼する際には、間取りの要望だけを伝えるのではなく、花粉症対策が出来る家にしたいことを前もって伝えるようにしましょう。リノベーションを行いたい理由のひとつが花粉症対策であることが伝えておけば、担当者が間取りを考える際に、窓の位置などを含めて専門家の目線でプランニングしやすくなり、花粉症対策を優先的により良いプランを提案してくれるかもしれません。
また、建材の中には、花粉症を含めアレルギー対策に特化したものがあります。抗アレルゲン機能付きの壁紙を使えば、花粉などのアレルゲンを吸着、抑制効果を期待できます。担当者に花粉症対策を行いたいことを伝えておくことで、そのような機能付きの建材を提案してくれるため、『知らなかった』とか、『提案してもらえなかった』というリノベーション工事で多い後悔を防ぐことが出来ます。
花粉症対策ができる間取りや設備を意識することはもちろんですが、リノベーション工事の時期を意識しておくことも大切です。工事の際には、日中の花粉が飛んでいる時間帯をメインに工事を行うのが一般的です。しかも、不特定多数の人が出入りするため、住みながら工事をすると、出入りの度に花粉も家の中に入り込んでしまいます。ですから、住みながらの工事をする場合は、リノベーション工事の時期が花粉の時期と重ならないように計画することが大切です。
打ち合わせの早い段階で、この時期の工事は避けたい、ということを前もって伝えておくことで、いつまでにプランニングを終える必要があるのか、工期はどれぐらいがいいか、などの計画が立てやすくなります。
家の間取りを変更したり、設備を導入したりリノベーションを行うことは、花粉症対策を行ううえで効果的です。外から家の中に花粉が侵入するのを出来るだけ防ぐために、玄関ホールや廊下、衣類が脱げるシューズクロークを設けることが出来るかもしれません。個室を作ることが難しい場合でも、間仕切りドアによって空間を仕切ることで、家の奥まで花粉が侵入することを防げます。また、吸気口や排気口を意識して換気システムを導入することや、窓の位置と空気清浄機を置く場所を打ち合わせの時点で具体的に考えておくことも大切です。さらに、花粉症対策をリノベーションによって実現したいことを早い段階でリノベーション会社に伝え、花粉の時期に工事が重ならないようにしましょう。
リノベーションによって家を安心できる場所にすることが可能なので、自然相手だからと諦めずに、間取りや設備を今一度考えてみましょう。