家のインテリアコーディネートをする際に、観葉植物も一緒にプランニングするケースは増えています。このテイストには、この植物、というようにインテリアテイストに似合う植物がピックアップされることも増え、様々な植物がホームセンターなどでも手に入るようになりました。春の訪れが近づいた今、植物を育てようと考えていたり、観葉植物が似合う家にコーディネートしたりしようと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
植物を買って育てるだけでも楽しいかもしれませんが、植物にとって居心地よく生き生きと育つ環境に、かつインテリアテイストに合わせ、植物を育てやすい環境に、家そのものを変えるというのもおススメです。植物を楽しめる家に、どのようにリノベーション出来るか、また、どんな物件が植物を育てるのに向いているかについて、リノベーションの観点からご紹介したいと思います。
植物が似合う家や、育てやすい家にリノベーションする際には、どんな点に注意すると良いのでしょうか?
こんな植物を置きたい、ここに飾りたい、と曖昧にイメージできていても実際にリノベーションした部屋に置くと、イメージと違う、邪魔になってしまう、ということがあります。特に植物にとって特等席である窓際は注意が必要です。植物を置いたことで、窓からの出入りや鍵の開け閉めがし辛くなったり、部屋に入る自然光が遮られたりしてしまい、せっかくリノベーションしたのに、生活しづらくなってしまっては意味がありません。
イメージとの相違を防ぐために、リノベーションの間取りのプランニングの際に、鉢のサイズや置きたい植物の数などをある程度想定して、平面図に落とし込んでみましょう。3Dパースや立面図などで確認できる場合は、鉢や植物の理想の高さを入れて立体的に確認することで、窓をどれぐらい遮るか、葉が広がった時に通行の邪魔にならないか、ペンダントライトなどの照明器具と干渉しないか、などを確認することが出来て、より具体的にプランニングすることが可能です。立体的なプランニングが出来れば、ライティングレールやピクチャーレールを使った吊り下げタイプの飾り方もイメージしやすくなります。
具体的に植物の種類や大きさが決まっていない場合でも、あえて図面に入れてもらうことで、好みのインテリアテイストに、どれぐらいのサイズの植物が似合うのかが分かり、内装のコーディネートをするうえで役立ちます。プランを見て購入する植物や鉢の素材やデザインを決めることも出来るかもしれません。
観葉植物は、飾る場所ばかり気になるかもしれませんが、共に暮らすことを考えるなら、お手入れのしやすい家にしておくことも大切です。日々の水やりだけでも、数が多ければ多いほど、時間がかかる大変な作業になるかもしれません。植物を飾る場所から、水道が近くなるような導線で間取りを考えましょう。
また、鉢が大きくなると、植え替えや剪定のための場所も必要になります。中には、植物が大きくなりすぎて動かせなくなったという方もいらっしゃいます。作業がしやすいバルコニーの近くに植物を置くことが出来るかもしれません。また、陽の当たる窓際にインナーテラスを設けて土間部分でお手入れできるようにすれば、移動する必要がなく、土や水がこぼれても、掃除がしやすくなります。窓際のインナーテラスは、リビングの一部としても、部屋干しスペースとしても使えるので、植物だけでなく居住空間としても便利です。
リノベーションをすることで、植物を育てやすい家にすることは出来ますが、リノベーションにも限界があります。物件そのものが植物を育てやすい環境にあるに越したことはありません。物件探しの時点から植物を育てることを意識してみましょう。どんな物件が観葉植物を楽しむのに向いているのでしょうか?
植物のためにも、住む人のためにも日当たりの良い物件を選ぶことは重要です。しかし、直射日光が入れば良いというわけではありません。短時間だけ入る直射日光や、強すぎる西日が入る場所は、むしろ枯れさせてしまう原因になるかもしれません。短時間に強い陽が入る場所よりも、自然光が出来るだけ長く入る物件がおススメです。昼間、電気を点けなくても、生活に支障がない明るさが保てる物件であれば、観賞植物の多くは窓際で十分に光合成をしながら育ってくれます。
また、家の中ではなくベランダで植物を育てたいという場合も、日当たりの良い場所にスペースがあるか、同じく日当たりが重要な、洗濯物を干す際に邪魔にならないかを確認しておくことは重要です。ベランダにも蛇口があって水やりがしやすい物件であれば、なお便利です。
マンションなどの集合住宅の場合は、共用部分となる窓をリノベーションすることが出来ません。リノベーションで、陽が入りやすい部屋の窓を大きくしたり、位置を変えたりすることが出来ないので、物件の現在の窓の位置や大きさ、高さを確認しておくことは重要です。
例えば、窓際に小ぶりの植物を飾る点では、出窓のように置ける場所があると便利です。しかし、出窓の奥行きが深く幅の狭いものになると、植物を置いたことでカーテンや鍵の開け閉めがし辛くなることがあるので、スペースだけでなく、幅や奥行き、動作を確認しておきましょう。また、腰窓の場合は、窓際に植物を飾る棚を置くことが出来るか、棚を置いたうえで観葉植物を置いても、部屋に圧迫感が出ないか、落下の危険はないか、なども確認しましょう。
リビングのような家のメインとなる窓以外にも、トイレやキッチンに窓がある場合は、窓枠部分に多肉植物などの小さめの植物を飾ることも出来るかもしれません。窓の高さや枠のサイズなども確認しておくことで、リノベーションの際に具体的に植物のプランニングをすることが出来ます。
家の中で植物を楽しみ、育てやすい環境にコーディネートするために、リノベーションのプランニング段階で、図面やパースに植物のプランニングも加えて立体的に確認しておきましょう。飾ることだけではなく、お手入れしやすい導線や間取りにしておくことも大切です。そして、植物を楽しむ家づくりのためには、物件選びも重要です。自然光がどこにどれだけ入る物件かを確認しましょう。また、マンションであれば、スペースや見た目だけでなく、生活動作を確認しながら、植物が育てやすい窓のある物件かどうかを判断しましょう。
植物の育てやすい中古物件を選び、育てやすく、似合う家にリノベーションすることで、温もりと心地良さを感じる家にすることが出来るかもしれません。