コロナ不況が騒がれる反面、意外にも不動産業界は忙しく、すぐに満室になる物件も少なくありません。その中で、なかなか空室が埋まらないと悩んでおられる物件オーナーもいます。
次から次へと新築が建つエリアにある物件や、確実に築年数が古くなる物件を、どうすれば住みたいと思ってもらえる人気の賃貸物件にすることが出来るのでしょうか?
借家事情は、アフターコロナで何か変わったでしょうか?築年数が古いだけが問題ではない、賃貸物件が置かれている状況を知っておきましょう。
コロナ禍で、リモートワークになり、家にいる時間が長くなったことや、通勤がなくなり、どこでも仕事が出来るようになったことから、今一度、自宅を見直し、住みやすいエリアへの引っ越しや、郊外への引っ越し、広い家に引っ越しをする人が増えており、人気の物件では、すぐに満室になる状況が続いています。
そのため、借り手が増えたことから家賃相場が全国的に上がっています。しかも、新築の相場に便乗するように、築年数が古い物件も、今までの感覚で相場に合わせて家賃をあげてしまったり、リフォームや修理代がかかるからと、家賃に上乗せしてしまったりしています。エリアによっては、築年数が古いにも関わらず、家賃が高いという物件も増えてきています。
借り手としては、家賃があまり変わらないのであれば、築浅の物件を選んだり、相場が安い郊外の分譲住宅を購入したりする方も増え、築年数の古い物件は、なかなか住み手が見つからないという状況が生じています。
賃貸物件といえば、掃除や除菌を行う、クリーニングをして次の住人に貸すというのが基本で、築年数が古くなると、住宅設備や内装材を新しくするリフォームをして状態を綺麗に保つ程度でした。しかし、ここ数年では、新築のアパートやマンションが次から次へと建つため、室内や設備がキレイ、新しい、は当たり前の時代になってきています。そのため、賃貸物件であっても、クリーニングは勿論、リフォームも当たり前で、立地条件の良さや家賃の安さという部分で差別化を図るしかないと考えるオーナーも増えています。
しかし、新築の新しさには劣るのが現実です。そこで効果的なのが、リノベーションです。ただキレイにしたり新しいものに交換したりするリフォームではなく、築年数の古さを活かした内装に仕上げたり、大きく間取りを変えたり、リノベーションによって、この物件にしかない特典や価値を付けることが出来ています。
ひと昔前までは、リノベーションは持ち家の人がするもの、と思われていましたが、今では賃貸物件情報でも『リノベ済み物件』や、『人気のリノベ物件』という記載を目にすることも多く、リノベーション物件特集が組まれていることもあるほどです。人気の賃貸物件として、リノベ物件というコピーがデザイナーズ住宅を指すかのように、リノベーションをしている物件がオシャレな物件の代名詞のように認識度もあがっています。
賃貸物件でどんなリノベーションを行えば付加価値のある人気物件に生まれ変えることが出来るのでしょうか?
ワンルームや2LDKまでの賃貸物件の多くは、部屋の間取りが似通ってきてしまいます。ワンルームに関しては、リノベーションで間取りを大きく変えることも出来ません。そのため、見た目は大事です。同じ間取り、同じ広さでも、内覧をした際に部屋が広く感じるかどうかや、オシャレに感じるかどうかは、内装材の色やデザインで大きく左右されます。
内装材のデザインや素材を意識してリノベーションすることで、大きく間取りを変えることが出来ない物件でも、デザイナーズ住宅としての付加価値を付けることが可能です。流行りのテイストや、物件が建っているエリアを好む年齢層に合わせたテイストを、内装材で取り入れることが出来るかもしれません。しかし、デザインや素材には流行りや用途別の向き不向きもあるので、リノベーションのプロに意見を仰ぐようにしましょう。
テイストを絞ってリノベーションすることで、ただキレイな部屋という印象だけでなく、デザイン性のある内装によって室内写真で目を引くことも出来ますし、『インダストリアルテイストの内装』や『自然素に囲まれた部屋』というように、物件のオリジナル性を紹介するコピーも分かりやすくなります。
キッチンやユニットバスなどの住宅設備は、リフォームだけでも費用がかかるため、水回り3点セットなどの特典を活用して交換するオーナーさんは少なくありません。リフォーム費用を抑えることは出来ますが、スタンダードなデザインとサイズで、付加価値を付けることは出来ないかもしれません。どの物件でも必要な水回り設備こそ、オリジナルにすることでオンリーワンの物件にすることが可能です。
例えば、コンパクトなスペースでもデッドスペースが出来ないように作られた造作洗面台にすることが出来るかもしれません。シンプルな洗面ボウルとカウンターの組み合わせでもオシャレになり、収納棚を設けてシステム洗面台よりも収納量をアップさせることも出来ます。また、人気の業務用キッチンを取り入れたり、比較的安価なシステムキッチンでも、対面カウンターを設けたり、オープン吊戸と組み合わせてオリジナルキッチンに仕上げることも出来るかもしれません。
さらに、オリジナル住宅設備であれば、部屋ごとに付加価値を付けることが出来るというメリットもあります。例えば、アパートやマンション1棟のオーナーであれば、角部屋や日当たりの良い部屋、2階以上の部屋はすぐに埋まるのに、それ以外の部屋は、なかなか埋まらない、というように部屋によっても状況が違うかもしれません。比較的人気のない部屋でも、ランドリールームがあったり、セカンド洗面所があったり、ロフトや収納棚など、その部屋オリジナルの住宅設備があることで、特典が付くため、部屋ごとに差別化できます。
コロナ禍でのリモートワークやおうち時間の過ごし方の変化によって、家を変わる人が増えています。しかし、一方で築年数が古い賃貸物件では部屋が埋まらない状況に直面しているオーナーもいらっしゃいます。そうであれば、リフォームではなく、間取りを変えたり、人気のテイストで内装を仕上げたり、オリジナルの住宅設備を入れたりするリノベーションをして、物件の価値を付けてみると良いかもしれません。
新築にはない、中古物件だからこそ出来るリノベーションという付加的価値がある物件にすることで、住みたいと思える人を増やしましょう。