自然素材を使った自然派住宅の床材として、また介護を視野に入れたバリアフリー住宅の床材としてコルクが注目されています。市販でもコルクカーペットが売られており、コルクの床を目にする機会も増えているかもしれません。コルク自体には馴染みがあるものの、床材として何がスゴイの?と思いませんか?今回は、そんなコルクの床の魅力についてご紹介したいと思います。
コルク樫という気の皮を砕いて作られるコルクは、リサイクルしやすく環境に優しい素材です。よく知られているワインの蓋やコルクボード以外にも、多くの物に使われています。そして、自然素材のコルクは建材としても使われています。コルクを建材、特に床材として利用される理由を見てみましょう。
他の自然素材と同様、自然素材ならではの特徴とも言えるのが、素材が呼吸をしているため調湿効果・調温効果があるという点です。年間を通し、快適な温度を保てるよう、コルクの床が呼吸をして湿度や温度を調整してくれます。
さらに木との違いとして、コルクには1㎤あたり4,200万個もの気泡が含まれているため、そこに空気を含むことができるので保温効果が高いというメリットがあります。冬の寒い日でも、冷たさを感じにくい床材です。保温効果があるうえに足触りもいいので、一層温かさを足元から感じる家になります。
コルクにある微細な気泡は、弾力性も生み出してくれます。その弾力性は衝撃も吸収してくれるため、歩行の際の足腰への負担を軽減してくれます。しかも、滑りにくいうえに、仮に転倒した場合でも、弾力性があるため、他の床材に比べ衝撃が少なく、比較的安全です。この点が介護施設や老人ホーム、病院など介護現場で足腰に優しい床材として人気になり、現在自然素材を使ったバリアフリー住宅にも取り入れられています。
また、大人だけではなく小さな子供のいる家では床で遊ぶことができ、素足のままでも快適なことから、さらにペットを飼っている家では、ペットの足への負担を軽減できることから人気です。
自然素材を使った家にする場合、キッチンや洗面所、トイレといった水回りの床材をどうしようか、と悩まれる方は少なくありません。無垢材のフローリング、木は水に強いとは言えないからです。腐食の原因になるからといって、自然素材にこだわっているのに、ここでクッションフロアを使いたくない、と思いますよね。そんな時におススメなのが、コルクです。ワインの蓋としても使われていることからも分かるように、コルクは水に強く腐りにくい特性をもっています。
実は、介護施設の一部では、浴室内の床材としても使われている程です。冷たさを感じ、滑りやすい浴室には、温かく、滑りにくく、弾力性があるコルクは適した床材なのです。
コルクの床は快適な自然素材として魅力的ですが、床材として選ぶ前にデメリットも知っておく必要があります。どんなデメリットがあるでしょうか?
コルクと言えば、と想像が出来るように色は基本的に茶色です。多少の違いはありますが、クッションフロアのようなデザインや色のバリエーションはほとんどありません。自然素材なので、自然の柄、風合いを楽しむという点では、自然素材に囲まれた部屋や、バリアフリーにこだわった家を作る点では、それほど影響がないかもしれませんが、デザイン性を重要視すると選択肢が少ないというのはデメリットかもしれません。
色の点では、茶色の濃さでバリエーションがあるので、明るくナチュラルにまとめるか、ダーク色を使ってシックにまとめるかの、違いは出せます。また、正方形のタイルタイプとフローリングタイプ、大きめのマットタイプなど、サイズや形はいくつかあるので、コルクでも種類によって部屋の雰囲気は変えられるかもしれません。
コルクは、弾力性があるというメリットがデメリットになる場合もあります。それは、キズや家具を置いていた跡が残りやすいという点です。人には優しいというメリットが、物から受ける荷重に対してはデメリットになってしまうのです。
しかし、コルクの強度を高めるために、表面に特殊樹脂ワックスや強化ウレタンを塗布したタイプのコルクタイルもあります。そのため、子供達が動きまわる傷がつきやすいような保育園や、杖や車いすを使うような介護施設などでも、使うことが出来ています。マイホームで使ううえでキズが気になる場合は、表面の仕上げ材に注目して選ぶことで、コルクタイルという選択肢を諦めずにすむかもしれません。
自然素材のコルクの床は、保温効果や調湿効果に加え、弾力性があることや耐水性があることから、自然派住宅やバリアフリー住宅に使われています。介護施設や保育園など、公共の施設でも人気の床材です。しかし、デザインのバリエーションに欠けることや、キズや跡がつきやすいというデメリットもあります。個人でメリットとデメリットを比較したうえで選択すべきですが、自然素材にこだわる方には、おススメの床材です。