この1年でライフスタイルが変わり、本当に必要な物、価値ある物や時間を見直したという方は少なくありません。その結果、ミニマリスト的な暮らしを楽しむようになった方、ステイホーム期間中に断捨離に励んだ方が増えました。その一方で、家の作り上ミニマルな生活に限界を感じたり、断捨離が上手くいかないと感じたりしておられる方もいるようです。
リフォームやリノベーションを通して、ミニマリスト的な暮らしを楽しんだり、断捨離しやすい家にしたりするには、どうすれば良いのでしょうか?
そもそも、ミニマリストや断捨離とは何なのでしょうか?家そのものにどんな関係があるのでしょうか?
ミニマリストとは、ミニマル(minimal):最小限の、という言葉から派生した言葉で、自分にとって必要最低限な物だけで暮らす人のことを言います。最低限の物といっても、洗練された質の良いもの、厳選された物を持つ、好きな物だけに囲まれて暮らすという点もミニマリストの重要なポイントです。生活に密着したもので、周りの物だけでなく時間や考え方など、生活スタイルも含めて使われています。ミニマリストになることで、自分にとって必要な事に時間を使え、シンプルで快適な暮らしができると人気です。
最近は、小さく生活できる最低限の空間や設備のみが整ったミニマルハウスや、ミニマルテイスト、ミニマルモダンなど、シンプルでスタイリッシュなインテリアテイスト、インテリアコーディネートの方法として、家づくりでも取り入れられています。
ミニマリストになることを目指し、その第一歩として断捨離を始めた方もいらっしゃいます。断捨離とは、文字通り、今持っている不要なものを、捨て、手放す、物への執着から離れることを意味します。
ミニマリスト=断捨離ではありませんが、現在の生活を見直し、ミニマリスト的生活を送るための方法として断捨離を行うことが出来ます。
では、実際にミニマリスト的な生活をするため、断捨離しやすい家にしておくために、リノベーションでどんな点を意識して家づくりをすれば良いのでしょうか?
持たない暮らしにするために、家を狭い空間にすることが正解だと思い、小さな家でいいのでは?と思うかもしれません。確かに、新築を考えている方や物件探しをしたうえでリノベーションして住む方は、必要最低限の広さの家にすることでミニマリスト的な暮らしに近づくことが可能です。
しかし、現在の住まいをリノベーションするのであれば、わざわざ家を小さくするリノベーションを行う必要はないかもしれません。必要な物、大切な物、ストックすべき物は実際、各家庭によって違うので、狭くすれば片付く、この広さあればミニマリスト的な暮らしになるというわけではありません。重要なのは、どの部屋をどれだけの広さにするか、また収納の容量、そして自分達の家具や持ち物をしっかり検討することです。
自分の必要な物、大事な物が収まる収納を確保したうえで、ここに入らない物は捨てる、買わないと決めることで物を増やさずにすみます。そして必要最低限の収納スペースを設けたのであれば、生活スペースは開放的に広くとっても、ミニマリスト的な暮らしは出来ます。
雑貨や家具を増やし、インテリアを楽しむ方の中には、部屋が殺風景になるのが嫌、暖かな雰囲気を出したいという目的で飾っていく中で、物が増えてしまったという方は少なくありません。ミニマリスト的な生活や、断捨離することによって、殺風景で冷たい、無機質な印象を与える部屋になってしまうのを避けたいという方もおられることでしょう。好きな物、好きなインテリアに囲まれて暮らすというミニマリスト的な考えも忘れてはいけません。
そんな問題を避けつつも、物を増やさない家にするためには、リノベーションの際に、建材や設備にこだわってみましょう。例えば、模様をつけた珪藻土などの塗り壁や、柄のあるタイル壁、木の自然の模様が綺麗な無垢のフローリングや、タイルやフローリングの張り方にデザイン性をもたせ、こだわってみることが出来ます。また、自然素材を使うことで、良い物を長く愛着を持って使うというミニマリスト的な考えも家の中に反映できます。
内装材に模様や柄があったり、自然のもつ美しさや温かさがあれば、飾りを増やす必要もありませんし、むしろ壁や床を見せるように家具を減らしたり、配置したりできます。リノベーションする時点で、内装材にこだわっておうことで、物を増やさないようにする、断捨離しなければいけない家から、物を増やしたくない、断捨離して内装そのものを楽しみたい家に変えることが出来るのです。
さらに、キッチンやユニットバスなどそのものに、機能や設備が整っていれば物を増やさずにすみます。例えば、食器洗浄機や浄水器がキッチン内に付いているタイプを選べば、別に買う必要も置く場所も必要ありません。もちろん、それ自体を要らないと思う場合は、そのスペースを収納にあてることも出来ます。必要なもの、譲れないものの優先順位を明確にしたうえで設備機器を選ぶことが重要です。
必要最低限のもの、自分にとって大切な物だけで暮らすミニマリスト的な暮らしを楽しむ方が増えています。中にはリノベーションの際に、物を持たないように、持てないようにするために家を小さく、部屋を狭くすることでミニマリスト的な暮らしを実現させようと思うかもしれませんが、小さく、狭くすることだけがミニマリスト的な暮らしではなく、空間を広くすることで、心や時間に余裕のある暮らしがミニマリスト的な暮らしに繋がるかもしれません。また、内装材にこだわって、家そのものを大事にすること、建材のコーディネートをインテリアとして楽しむことで、物を増やさない生活が自ずと意識出来ます。
リノベーションを通して、ミニマリスト的な暮らしを楽しむための一歩を踏み出せるかもしれません!